Puss and his Hound


愛する自慢の黒猫が、白い子猫を拾ってきた。

ウチの黒猫は、そりゃあもうこれ以上無いというくらいの極上な美貌と艶やかさを有しているのだと、その髪をタオルで拭いてやりながらラビは思う。
その愛猫こと神田ユウがこの雨の中傘もささずにその手に子猫を抱えてラビの部屋のベルを鳴らしたのが30分前。
確かに来ることは知っていたが、猫を土産に持ってくるなどとは聞いていない。

「・・・・・・・・・・・・・・・何それ」
「拾ってきた」

それだけの会話で状況説明すら終わらされてしまった。
とりあえずすっかり冷えてしまった身体をあたためるようにとシャワーを浴びるように言い、バスルームへ向かわせた。
何故か、その手に子猫を抱えたまま。
彼女の着ていた服は当然びしょ濡れで、現在洗濯中。
今はラビの新しいワイシャツのみを羽織った格好。これが視覚的に非常によろしくない。
肌が透けて見えるし、何より太腿から先がモロに見えるわけで。

「・・・・・・何だよ」
「や、なんでもないさ・・・」

俺は白猫に対する嫉妬心ともいえる怒りを抑えると同時に、
黒猫に対する欲まで抑えなければならなくなってしまった。
その両方の原因である愛しい黒猫の膝には、件の白猫が鎮座していて、生意気にもユウに毛を拭いてもらっている。
なんと羨ましい。
ユウの髪を拭いているのは俺なのに、ユウの意識は完全に白猫にあるらしい。不公平だ。

「ユウ」
「何だよ」

返事はあるけれど、視線はこちらを向かない。毛並みも乾いたユウの膝の上の猫は、気持ちよさそうに目を細めている。

「・・・・・・・・・ユウ」
「だから、なんだよ」

その長い指が、優しく猫の耳を撫でる。その気持ち良さを、俺も知っている。俺だけ知っていれば良いことなのに。

我慢できなくなって、その細い首筋に背中から抱き付いた。長い髪はまだ少し湿っている。

「・・・・・・・・・・・・ユウ」

ぎゅ、と腕に力を込める。長い髪からはいつもの香りではなく、自分がいつも使っているシャンプーのニオイがした。
ユウが呆れたように長い溜息を一つ。そのせいで肩が上下した。

「・・・・・・手のかかる犬だな」

ぽんぽん、と軽く頭を叩かれたかと思うと、するりと腕の中から逃れられてしまった。
立ち上がって、部屋の隅にある、ユウがいつも使うクッションの上に小さな猫を乗せる。

「悪いな」

そう呟いて、微かな笑みさえ浮かべてその頭を撫でてやる。
ソファに残った俺は、ただその光景を遠目に眺めるしかできない。

「まったく・・・猫に嫉妬してんじゃねえよ」

露わになったままの白い足が、こちらを向いた。
そのまま猫のところにいるのだとばかり思っていた俺は、驚いて近付いて来る愛猫を見上げる。

「ユ・・・・・・」

名を呼ぼうとした唇が、ユウのそれに塞がれる。入り込んで来る舌の感触にぞくりと身を震わせて、ゆっくりと絡めてゆく。
次第に荒くなっていくユウの呼吸に気を良くして、そのままソファに縫い付けた。

「・・・っ、ラビ」
「ゆーうーー!!」
「・・・・・・お前現金すぎ」

諦めたようにまた溜息を吐くユウを、今度は前から抱きしめる。首筋に顔を埋め、まだ新しいワイシャツの前を肌蹴ていく。

「・・・ラビ、あいつの目の色、見たか?」
「は?」

思い出したようにユウが呟く。そんなもの、見ようともしなかった。
だが、この体勢でもいやに落ち着いているユウを少し訝りながら、その視線の先を追う。
部屋の隅に縮こまりながらこちらを窺う色は―――翡翠。
それがどうしたと言いたげに腕の下の麗人を見返すと、視線は猫を向いたまま、


「お前みたいだと思って、思わず連れてきた」


ぽつりと、そう呟いた。


「あーもーユウ・・・・・・そういう可愛いことしないで」

食い尽くしたくなるでしょ?
それが贖罪の前払い。

極上の艶やかさを有する愛猫の首筋へ歯を立てた。









2000hit御申告頂いた虹夜灯様のリクエストでラビュ(嬢)でした!が。
別にコレ嬢じゃなくてもよくね?(爆)
あと、ラビが「ユウ」しかゆってないとか、相変わらずナチュラルに変態で申し訳ない。
実はこのネタ自体は結構前から温めてたのですが、書く機会が無く眠ってたものでした。
今回ネタメモからいそいそと引っ張り出してきましたよ(笑)
お姉さまの猫ネタもいつか見せてくださいねww
御申告まことにありがとうございましたぁぁ!!!

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