足元から染み込むオレンジ
ヤバイ、と思ったときには既に身体は勝手に動いていて、そのおかげで向かってくるトンファーを避けられたと同時にその攻撃の主に反撃していた。
それにもまたヤバイ、と思ったが、それは先刻と同じものではなくて、決してお互い致命傷を与えずにやりとりを続けるという暗黙のルールを崩してしまった事に対してであって――だが、手を緩める前に愛用の鞭は黒髪の少年へと飛んでいった。
危険を感じたら反射でかわせるようになれ、というのはかつての師の言葉だけれどもこんな時にまで、とも思う。いや、それ程までにこの少年が強いという事なのだろうが――鞭によって気を失った少年の身体が、ぐらり、と傾いた。慌ててそれを抱きとめる。
「・・・・・・おーい恭弥?恭弥さーん?」
間抜けだとは思ったが、パタパタと手を振って風を送ってみる。珍しく閉じられた瞳は開く事無く夕日に照らされていた。というかもうそんな時間だったのかと今更気付く。
今まで機敏に動いていた身体が急に止まってしまったことに動揺して――と言っても自分の所為なのだが――思わず、フェンスにもたれて様子を見ていた部下を仰いだ。軽く混乱しているのが自分でも解る。
「何て情けない顔してんだ、ボス」
笑いながら近付いてきたロマーリオが、軽く恭弥の顔を診て、呆れた様に言った。
「こりゃぁモロに入ってんなぁ。暫く動かさない方が良さそうですぜ」
「そ、そっか・・・・・・」
今は静かに閉じられている瞳が開かれた時が恐い。謝ったところで素直に聞き入れてくれるような性質はしていないから、問答無用に叩きのめされるか、完全無視を貫かれるか、それとも――
「兎に角今日はここいらにしておきましょう。もうすぐ日も暮れる」
「ああ・・・そうだな」
飲み物でも買ってくる、と言って屋上から建物の中へと通じる扉を開けた部下の背を見送って、改めて意識を手放している雲雀の顔を見遣った。
かつての師に頼まれたときは、躊躇もあった。だが今は純粋にこの遣り取りを心から楽しんでいる自分に気付く。今は未だ自分の方が一歩上手だが、越されるのも時間の問題かもしれないとも思う。そしてそれが、きっと自分は、とても楽しみなのだ。
昼から動かし続けていた足が、好い加減疲れていた。フェンスに背を預けて屋上のコンクリートに座り込み、だらしなく伸ばした足の上に、雲雀の頭を乗せる。軽い重みが足の上にかかった。その頬が紅く染められてゆく。丁度今足元で山の間へと沈んでいく太陽の所為だ。もしかしたら今自分達は太陽と同じ高さにいるのかもしれない、等と思ってみる。思わず自分で笑ってしまう。
この空が一面暗くなってしまった頃には、雲雀も目を覚ますだろう。その漆黒の瞳を緩やかに開くときはきっと、年相応の少年の顔をしているのだろう。もしそうなら、安否を気遣った言葉をかけて、心からの謝罪の言葉を述べて、それと同じ声で、緩やかに、惚れてしまったのだと、大人の顔をして云ってみようか。
4444hit御申告頂いた水無月様のリクエストでディノヒバでした!
「斗季が嵌ってる間に!(笑)」とのことでした。良く解ってらっしゃる(笑)
えと、時間軸的には指輪の戦の訓練の頃だと思っていただければ・・・(解説しなきゃならないようなもん書くなと何度も)
割と直にできると思ってたのですが、意外とディーノさんが書きづらかった・・・;;遅くなって申し訳ないです!!
御申告本当にありがとうございました!!ww
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