1.雄 (神リナ)
「ずるい」
「何が」
「神田の方が、背も高いし、力も強いし」
「そりゃそうだろ」
「男尊女卑だわ」
「・・・違ぇだろ」
「ずるい」
「俺に言うな」
「髪、石鹸なんて嘘でしょ」
「嘘吐いてどーすんだよ」
「ずるいわ」
「うるせぇ」
「・・・ずるい」
そうやって、私をその広い胸につつみこむ。
それで私がおとなしくなることを知っていて。勝てない。
「・・・やっぱりずるいわ、神田」
「黙って寝てろ」
(ラビさんとのエロでもできたけどしょっぱなからそれはどうよ、と思ってやめた/おい)
2.融 (神田)
手が熱を持つ。熱い。
触れるものが全て融ける。全て。
「来るな・・・」
怯えた声が聞こえて、それが自分のものだと後から判る。
何に対してのものか。何も見えないのに。
ふと、闇の中に淡い光が見える。
蓮の花。
厳かなガラスケースの中に鎮座するその花が、
自分が見止めた瞬間、音も立てずに花弁を散らす。馬鹿な。
「やめろ!」
縋る思いで、ガラスケースに触れる。
するとそこから、透明な壁が融けだす。形を崩す。
融けた液体となったガラスが、蓮へ降りかかる。止める間など無く。
「やめろ!!」
そう叫んだ自分の声で、目が覚めた。
息が整わない。汗が額に張り付く。
暗闇を見たくなくて、目を閉じた。それでもまだ闇だった。
ガラスケースの蓮を確かめる勇気がなかった。
ただ、自分の額へ押し付けた手の冷たさが唯一のリアルであれと願った。
(でも苦しむのはラビさんの役目ですよね。/お前・・・)
3.由 (ラビュ)
ねぇ、お願いだから忘れないでいて。君だけなんだ。
「・・・ユウ」
「うるせぇ」
「ユウ」
「聞こえてる」
「ユウ」
嗚呼なんてキレイな音。たった一瞬の空気の振動なのに。
「ユウ、呼んでよ」
「・・・ラビ」
「もっと。忘れそう」
いつか。きっと遠くない先に捨てることになる一時の名。
2度目のその時は、もうきっと平気だと思っていたのに、出会ってしまった。
始めの名を持つ君に。それ故に、2度目の名前に命を吹き込むことができる人に。
「ラビ」
「ユウ、ありがと」
「何が」
「好きだよ」
「てめぇかよ」
笑う。
どうか、いつか捨てなければならないとわかっているからこそ、
心から愛させて。
(某ネタ。日記に上げたSSの別口。)
4.友 (ティーンズ)
「ゆーう」
「うぜぇ」
「はい、あーん」
「死ね」
「ちょっと、目の前でイチャつかないでください」
「黙れ」
「もー、ヤキモチさ?アレン」
「ぶっ飛ばしますよ」
「聞いてんのか」
「相変わらずすごい量ね、アレン君」
「リナリー」
「隣いい?」
「勝手に座れ」
「ありがと」
「わぁ、リナリーのそれ美味しそうですね」
「お前さっき同じの食ってたじゃん」
「ラビ、またアスパラ残してるの?」
「だって嫌いなんさー」
「ガキ」
「だからユウにあげるってー」
「いらね」
「塩茹でされてるから美味しいわよ」
「マヨネーズかけてもいいですよね」
「あんなモンかける奴の気が知れねぇ」
「なんでもかんでも醤油かける人に言われたくないです」
「それは日本の食文化ってやつさー多分」
「多分・・・・?」
(日常?グルメなリナリー、無差別なアレン、薄味スキーの神田さんと偏食家ラビ)
5.遊 (幼馴染)
「おかえりユウ」
「ああ。ほら薬」
「ありがと・・・」
「リナリー、今水持ってくっから」
「ん・・・」
「さっさと寝ろ」
「・・・兄さんは?」
「お前より死にそうな顔してた」
「あはは、目に浮かぶさー」
「後で見に来るってよ」
「そっか・・・」
「ほらリナリー、薬飲んで。コムイが来るまでに少しでも熱下げるさ」
「うん。・・・ふふ」
「?」
「なんか、昔に戻ったみたい。まだ3人で、遊んでた頃の」
「あー・・・。小さい頃はリナリーすぐ風邪ひいたよな」
「うん。その度2人がこうやって側にいてくれた」
「・・・コムイが忙しかったしな」
「俺らの大事なお姫様が熱出したって、俺もユウも心配したんだぞ?」
「今は?」
「もち、今も」
「本当に?」
「そうじゃなきゃ態々来るか」
「嬉しい。たまにはまた熱出すのも悪くないかな」
「馬鹿言うな」
「そうさ!早く寝てさっさと治す!」
「はぁい。・・・ねぇ」
「ん?」
「熱下がったら、遊びに行きたい。前みたいに3人で」
(おさななじみもえー。)
6.勇 (神リナ)
いつもの団服でなく、私服のスカートに着替える。
別にデートだとか、そういう訳では全く無く。それどころか愛しい人はホームにいない。よくあることだけれど。
そんな事くらいで泣いていたら彼の隣に立つことなんて到底出来ないことは熟知しているし、
それくらいで諦める程弱い女でもないのだ。残念ながら。
任務でいない時は、帰って来た後の疲れた顔にとびきりの笑顔で「おかえり」を言うのが私の役目。
ほんの少し戸惑った貴方を見ると落ち着くってことは内緒。
何も変わらないで帰ってきてくれた、と。安心する、。なんて。
私は強がりだからそんな事言わない。貴方がそれで笑ってくれる程無邪気じゃないことだって知ってる。
だけど、突然無償に会いたくなる。それ位許されるよね?
『 アイシテヨ 』 『 アイニキテ 』
もし私が勇気を出して言葉にしたなら、貴方はどうする?
「何ぼけっとしてんだよ」
聞こえない筈の、凛とした声が背後から聞こえた。
驚いて振り向くとそこには、長い髪と、
左手に回収してきたのであろうイノセンス、右手に先刻まで私の手にあった筈の書類の束。
「神田・・・?どうしたの?任務は?」
「終わったからここにいるんだろうが」
そうして私が今まで向かっていた方へ歩き出す。
慌ててその後を追って、その背に怪我がないことを知ってホッとする。
「今回は速かったのね」
「お前がうるせぇからな」
とくん。いつもより大きい心臓の音がひとつ。
「それって・・・」
――― アイシテヨ アイニキテ
ねぇ、もしかして本当は気付いてるの?
( Image Song : I can't say /YUI )
7.憂 (ラビュ)
―――頭痛ェ。なんだコレ。
数刻前まで傍にあった筈の温もりは欠片さえ残さず消えている。
勝手に人の部屋に置いてやがった本やら何やらの私物すらキレイに片付けられていて。
「馬鹿野郎」
ずっと側にいられない事なんて、初めからわかっていた。
何故なら俺はエクソシストで、奴はその前にブックマンジュニア。
ただ偶然に同じ場所で擦れ違った時間が長かっただけ。
ただ、それだけだ。そうだろ。肯定する奴の声が聞こえない。
「馬鹿野郎・・・」
この日が近づいていたのはわかっていた。
黙っていたのはむしろ、奴の方で。
そのくせ必死に組み伏せて、唇を塞いで、言葉を喘ぎで満たすことで俺から何か問われることを恐れていた。
嘘ついて誤魔化す位のことしろってんだ。あの馬鹿。
「―――・・・ラビ」
あと何度、君をこの名で呼べるだろうか。
( Image Song : Swing of lie /YUI )
8.夕 (ラビュ)
凛とした影が夕日に綺麗に映える。一心不乱に愛刀と共に鍛錬に励むその姿を上から眺めるのがここ数日の日課。もちろん視線の先の麗人は知る筈もない。気配で気付けよ、なんて少しだけ思いながら。
ふと、日が陰った。空を見上げると、雨雲が太陽を包もうとしてる。それに気付いたのかどうか、地上に視線を戻せば、やっと手を休めて部屋へ帰ろうとする件の麗人。
(あ、)
消えそう。そう思った次の瞬間には考えるより速く彼の背に上から飛び掛ってた。
「ユウ!!!」
「!!?」
当然驚いた顔の彼は、俺を受け止めきれずに二人仲良く地上にダイブ。下が土で良かった。
「てめぇ・・・」
顔に乗せられるのは怒りの表情。けれど先刻まで一人で居た時のは違う。ごめんね。
「ユウ、泣きそうな顔してた」
こつん、と。彼を押し倒した格好になったまま額を合わせた。本当は言わないつもりだったけど、でも、今すぐ言わないと、ユウが連れていかれそうだった。誰に?そんなの決まってる。俺の言葉にその綺麗な目を見開いたまま何も言い返せない愛しい人。
「焦んなくていいよ。俺はユウが好きだけど、なんも取るつもりはないから」
柔らかい笑みで真っ直ぐに彼の深い藍色の瞳を見つめる。本当なら、その奥に隠されたままの『誰か』を越えてやりたい。
(誰だよ。なんでこんなユウを縛り付けんの。目の前にもいないくせに。お前はユウの何?ねぇユウ、俺を見てよ。今ユウの傍にいるのは俺なんだ)
言えばきっと、君は困る。だから言わない。俺はユウが好きなのであって、困らせたい訳じゃない。
「ら、び・・・」
「ね、ユウ。俺はいつか全部捨てなきゃなんない」
「ラビ、」
「だから、代わりにユウが、本当なら俺が持ってなきゃなんないもの全部持ってて。ユウにしか頼めないんさ」
「ラビ、解ったから」
「そん代わり、俺がユウの分まで捨てるから。」
たとえば、愛しい人が命を吹き込んでくれた名前。楽しかった頃の思い出。仲間の事。暖かい腕。いつか二人で街一つ壊す約束。見上げた先の夢。好きな人の手を握って側にいる事。
「だからさ、ユウ」
夕日が雲に飲み込まれた。綺麗なオレンジの景色が消えて暗くなる。ぽつり。ユウの頬に水滴が落ちる。次に俺の髪にも。
「泣かないでよ、ユウ」
そんな悲しい顔が見たいんじゃないんだ。
「泣いてんのは、てめぇだろ」
「雨さ、これは」
「俺のだってそうだ」
涙一つ、素直に流せやしない。
耳元で何度も謝る声。そんな声が聞きたいんじゃない。
「ユウ、好きだよ」
方法なんてわからないけど、それだけは誰にも負けないから。
( Image Song : Ready to love /YUI )
9.幽 (神リナ?)
「はーいそれじゃー肝試しをはじめまーす。ここから頂上まで行ってお札を取って帰ってくることー。ペアは自由でーす」
「ユウー、ラビ、幽霊怖いー」
「ふざっけんな嘘吐くんじゃねぇうぜぇ抱きつくな離れろ!!」
「神田!僕、日本の幽霊って会った事ないんですよー。紹介してください!」
「テメェ俺のことなんだと思ってやがる」
「つぅか、何掴んでるさ、アレン」
「ラビこそ、何僕の神田の手なんて握ってるんですか。離してください」
「誰が誰のだって?ユウは俺んで、俺と行くの。お子様は寝てなさい」
「誰がお子様ですか。人の物に手出すなんて最低ですよ」
「おい、誰がいつ誰のものになったって?」
「その言葉そっくりそのまま返してやるさ」
「思い上がりも甚だしいですね」
「てめぇら・・・・人の話を・・・・」
「神田ぁ・・・・・・」
「あ?何だよリナリー」
「き、肝試しって・・・幽霊・・・出るの?」
「・・・・出るから肝試しなんだろ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・怖いのか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・ちっ、ほら行くぞ」
「・・・! うん!!」
「往生際悪いですね。僕のだって言ってるでしょう。仇名をつけてもらえるほどの深い愛が解らないんですか」
「いーや俺んだね。ユウって名前で呼ばせてもらえない奴が偉そうなコト言ってんじゃ・・・・・・・・って」
「・・・いないっ!?」
「ちょっとぉぉぉ!!アレン君にラビ!!リナリーがいないんだよぉぉぉ!!!」
「・・・・てコトは」
「・・・・・・やられたさ」
(オチなしorz)
10.優
君の、大切な人の名前。
(優しい響き。嗚呼耳についてはなれないよ。)
11.誘 (ラビュ)
時々、ユウは無性に幼くなる(たとえば、すごくキレイな夕日の後とか)。そういう時俺はわざといつもよりユウに冷たくしてみたりする。
「ラビ」
そうしたってユウは、いつもでは考えられない位素直に俺のあとをついてくるから(まるで幼い頃に戻ったみたいに)。
「ラビ・・・・ふ・・・・っ」
自分から舌を絡めて。執拗に縋りつく(猫みたい)。こういう時は、不安なんだ。相手が目の前から消えてしまいそうで(多分、お互いに)。
消えないよ、とは言えない。消えないよ。おいてかない。勝手にいなくなったりしない。大丈夫、ずっと傍にいるよ。そう紡いだ次の朝にはきっと、君をベッドに一人残したまま行かなけりゃならない(君を置いてまで、どこへ?)。
「ラ、ビ・・・っ!」
ぐいと引かれる首。それに絡まる白い腕(細いなぁ、折れそう)。
極上の麗人のお誘いを無駄にしてまで考えることじゃあない。
「ん、ごめんユウ」
庇護の口付けをひとつ(はたしてどちらを?)。いつまでも続けばいいと思った。
「余計な事考えてんじゃねぇよ・・・っ」
「ん、だからゴメン」
それだけ呟いて腰を進める。晒される咽喉(噛み付いたら紅く染まるかなァ)。散らばるブルネット(いいなァ、キレイ)。涙の幕に包まれた、黒曜石の様な瞳(のみこまれる?)。
「あ・・・っ、ラ、ビ・・・!」
「うん、ごめん」
ごめん、ごめんね。
君を愛してしまったこと。
「は・・・バッカじゃねぇの」
息が上がったまま唇が塞がれる。歯がぶつかって音を立てる。舌を吸い合う(呼吸ができないんさ、ユウ)。
「ごめん」
「好きだ」
「ごめんね、ユウ」
「行くな」
「ごめん」
「たのむから・・・」
ごめんね、君に愛されてしまったこと。
(だっていつかはばらばらになるから)
12.結 (幼馴染とアウトサイダー)
「リナリーの髪ってキレイですよね」
「あら、ありがとう」
「いいなぁ、アジアンブルネットって憧れます」
「そう?じゃあ神田の髪なんかは?」
「神田のっていうだけで嫌です」
「・・・本当仲悪いのね。でも大変なのよ神田の髪って、結うの。」
「は・・・・・え!!?」
「全然まとまってくれないんだもの。そのくせへんなトコで癖つきやすいし」
「え、ちょ、待って下さいリナリー!ま、まさか神田の髪・・・・っ!!」
「うん、ホームにいる時は、いつも私が結ってるわ」
「!!!? な、なんで・・・っ!?」
「昔の癖が抜けないのよね。小さい頃は、私の髪も、神田とラビが片方ずつ結ってくれてたの」
「な、ななな・・・っ!?」
「今もね、お互いが居る時はそうしてるけど、ラビは殆どこっちにいないし、神田は・・・」
「リナリーっ!!」
「ど、どうしたのアレン君」
「今度から君の髪、僕に結わせてください!!あんな人達にリナリーの髪を触らせるなんて虫唾が走ります!あのロン毛野郎なんて自分でやらせときゃいいんですよ!態々リナリーの手を煩わせるに値しません!!それ以上にこのままでは折角のリナリーのキレイな髪が穢れてしまいますっっ!!」
「・・・・・・・だってさ、ユウ」
「誰が結わせるか」
「だよねぇ。俺らの大事なお姫様を」
(この関係萌ー/主に3人組が)
13.右 (アレ→神→ラビ)
彼の右手は崇高なものだ。彼にとって命の次に大切なもの。彼の愛刀を振るうための手だから。それがなければ彼は戦うことができなくなる。彼は自らの命を守ることができなくなる。そんな彼の崇高なる片側に在ることを許された人が過去ただ一人いた。「・・・神田」彼の肩から背にかけて流れていた長い髪はもうない。過去に唯一彼の右側に在ることを許された彼の人が最期の刻に切り去ったまま。整えられることも、まとめられることもなくそのままに曝されている。見ていて痛いのはこちらだ。彼は狂った訳ではない。いっそ見事なまでに冷静だ。その崇高なる右手で彼の人を殺めたことすら何の事無く過去にあった事例の一つとして彼の中では片付けられてしまっているのではないかと思う程。「神田・・・」「触んじゃねェ」短い髪に触れようと伸ばした手が宙で止まる。愛しい人を壊した手。その心の痛さはわかっているつもりだった。だが、愛していたわけではないと彼等は言う。お互いは唯一で、大切だった。相手を殺すのは自分だと言い合い、それでも愛してなどいないと。けれど悲しいことに、聞いていた僕にはわかってしまったのだ。(ああ、この人達は愛するということを知らないんだ)「神田」なのに、どうして。代りでもいいから、愛してもらいたいんだ。君に。
(ずっと気になってるんですが、ラビがノア側になった時、咎落ちってないんだろうか・・・・)
14.有
必要なもの
君を呼ぶ僕の声
君を受け入れる僕の身体
君を想う僕の想い
苦しめてごめんね
これでやっとひとつになれる。愛しているよ。
(個人的には是非とも生身で殺し合って頂きたい。)
15.悠
I don't believe God. (Because have you seen? And always hurt you!)
But only thank for it. (Because it gave me you!)
So, I can go down on that's knees. (Because it gave me you!)
I don't need world of happy. (But a blessing of you!)
So, I can cross for it. (Amen! Amen! Amen!)
Hallow, my lover in far place. (What expression do you have now?)
( 神様なんて信じてないけど(だってそのお姿を拝したことがある?君を傷付けてばかり!)
ただひとつだけ感謝するよ(だって君を僕に下さった!)
僕は跪くことだってできる(だって君を僕に下さった!)
世界なんてどうでもいいけど(君に幸あれ!)
十字架だってきれるさ(アーメン!アーメン!アーメン!)
ハロー、遠き地にいる愛しき君よ(今どんな顔してる?) )
楽しく書かせて頂きました(笑)
お題はこちらよりお借りしました。