1.sweet voice(甘い声)
 

「こっちにおいで」
 
 
それは普段よりも低く、優しい声。
 
 
ベッドに腰掛け、俺に向かって両の手を差し出す。
その瞳は潤み、頬には少し赤みが差している。
 
 
ほんのり香る酒のにおい。
 
「ラビ、お前・・・酔ってるだろ・・・・・」
 
 
 
すると彼は微笑んだ。
今まで一度も目にしたことのない、蠱惑的な微笑み。
 
 
 
 
 
不覚にも、心臓が跳ねた。
 
 
 
 
 
 
そして再び彼は言う。
 
 
「おいで・・・ユウ・・・・・・」
 
 
足が、一歩、また一歩と彼に向かって歩んでいく。
 
 
頭の中では警戒音が鳴り響く。
それ以上近づいてはいけない、と。
 
捕まったら最後、当分の間は解放されない。
 
 
 
 
頭ではわかってるんだ・・・。
 
でも・・・
 
その声に抗えない・・・・・・・・・・。
 

 
 
「ら・・び・・・」
 
 
 
手を取られ、引き寄せられる。
次の瞬間には、もう彼の腕の中。
 
 
 
「いいこ・・。俺のユウ・・・」
 
 
 
耳元で囁く甘い声。
 
酒の香の混じった彼の香り。
 

 
 
 
やはり、抗えないようだと。
 
諦めて・・・目を閉じた。
 
 
 
 
 
 
耳に残るは
 
 
貴方の・・・・・声。