宝物を隠すには誰の目にもつかない場所が良いと、誰が始めにいったのだろう。
その所為で、いまだ太陽の光さえも知らない者がいるというのに。
やり場のない怒りは、けれど結局は何もできない自分に返ってくるということは十分に知っていた。
無機質な箱に入り、そのまま地下の、さらに奥底へと運ばれる中で
閉じていた目をゆっくりと開いた。
やがて軽い音とともに開かれた扉は、長い廊下を進んだ奥にある重い扉へと続いている。
静かに箱に預けていた背を浮かせ、その重い扉を開くべく足を踏み出した。
その扉のむこうにいる姫君は、きっと自分が向かっていることなど、全てわかっているのだろう。
そのことを、少し、申し訳なく思う。
だって、君のことは、何もわかってやれてないから。
自分がその扉の前で足を止める前に上下に割れるその様は、受け入れてもらえているようで、
少なからず僕が喜んでいることを、君は知っているのだろうか。
「乙姫・・・」
神聖に扱われ、それゆえに孤独に紅く輝くガラスケースに近づく。
歩くたびに聞こえる足音など、もう少しも耳に届いてはいない。
確実に意識はある。けれど目を開くことなくそこにたゆたう。
けれど、感知してはいるのだろう。今、僕がこうして触れることなく、近寄るだけでいることも。
「乙姫・・・」
お前には、こんなにも綺麗な音を持つ名が、あるのに。
その音を紡ぐ者など、一体この島にどれだけだというのだろう。
お前の名も知らないような者たちのために、お前は、その身を犠牲にして、。
未だその聲さえ知らない妹を、真直ぐに見据えて、けれど、触れることなく。
「―――すまない」
いつも自分の口から出るのは、その言葉だけ。
それだけしか言えない自分を恨めしく思う。
けれど、それ以外、言える言葉を持ち合わせていないのだ、自分は。
この島のすべてを、その小さい両肩に抱え込んでいるというのに、
自分の妹の重荷を、少しも自分は背負ってやれないのだ。
ぎり、と。爪が食い込むほどに手を握り締めて。
「すまない・・・・」
結局は目を伏せて、それだけを紡ぐ。
たとえその言葉を聞いて少女が涙を流していたとしても、羊水に紛れたそれは区別されることなく溶ける。
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以前秋兎ちゃんに送りつけたブツだったり(爆)