赤く染まった道の中を歩く。話がある、と誘った彼を伴って。
ほとんど歩くことのない外の道は地下とは違う感触を足の裏にくれる。
均一な景色だけの廊下が嫌いなわけではないけれど
「見て、一騎」
こうして、道ばたに咲く花を見つけることはできない。
少しだけ駆けて、屈みこんでその花を見る。
小さく、黄色く咲き誇るその花は、夕暮れの光に混ざって
淡いオレンジに似たベージュに染めあがっている。
周りに似た花がないのにも関わらず、必至に成長して、生き抜こうとする様が。
刹那、兄の姿を想像させる。
ゆっくりと自分に近づいて一緒に花を覗き込む一騎に、笑顔で告げる。
「総士をお願いね、一騎」
これだけ、時間があるうちに伝えておきたかったから。
思ったとおり、微かに見開かれた瞳が私を見ていた。
その表情にくすりと笑って、だめ?と首を傾げてみせる。
「俺が・・・?」
「だって、一騎以外いないんだもの」
「君が、いるじゃないか」
その言葉が、優しさなのは知っている。
兄が、自分のことをとても大切に思っていてくれることも。
それでも、首を横にふる。
寂しさを隠せそうになかった瞳は伏せたけれど、一騎に気付かれなければいい。
「あたしは、ずっと傍にはいられないから。」
もうすぐ、時間が尽きる。それは総士も解っているはずで。
限界を知る事なく最後まで突き進んでいけるのは、一騎の強さだ。
全てを把握することと、受け入れることを要求された自分達には無いもの。
限界を知ってしまって、先には希望を持つことしかできない、自分達との違い。
それを、羨ましいと思っている事をきっと彼は知らない。
「だからお願い、一騎」
精一杯微笑む。
一番の望みだといったら嘘になるけれど、
でも本心の言葉であることに偽りはないから。
納得は出来ていないようだけど、それでも承諾してくれた一騎はふわりと微笑む。
この笑顔が、総士を溶かしてくれればいいと思う。
お互い絡めあった小指。
ゆびきりげんまん うそついたらはりせんぼんのーますっ
ゆびきった!
(あ、)
離れる 指 。
そこで垣間見た、未来への不安。
望んだのは自分なのに、しなければよかったという後悔。
「―――どうか、した?」
「・・・ううん。」
それでも彼は、共にあろうとするのだろう。
きっと、この約束がなかったとしても。
「ありがとう」
無理矢理作った笑顔を向けて、ふたり一緒に立ち上がった。
赤の光は、少しずつ暗闇に飲まれてゆく。
(まだ、消えてない。)
先に一騎の家で待っているだろう兄の姿を思い出す。
どうか、せめて
最後まで望むように咲き誇れるように。
*****
以前秋兎ちゃんに送りつけたブツだったりその2.
総士が大切な二人。