※以前置いていた「Reason fusion」の設定で書いています。
  (Reason fusion : ジャンルごちゃまぜのマフィア+娼館パロです。)











パイデイア・パラドックス

「いけないんだぁ」

くすくすと音がしそうな笑い方で、白髪の少年が寝転ぶ男に被さる。
薄い闇が落ちる部屋に、熱が満ちていた。けれどそれは決して甘いものでなく。

「教わりませんでした?人の物勝手に見ちゃいけないって」
「見られたく無いならしまっときゃいいだろ」

自分に全体重を掛ける少年などいないかのように、男は仰向けのまま携帯電話を弄っていた。
手馴れた様子でその長い指はボタンを滑り、中身を全て暴いていく。
まるで自分の物のように扱うそれは、間違いなく少年のものだった。

「ねぇ、人の話聞いてます?」

怒ったというよりは拗ねた様子で少年が男の手から自分の所有物を奪い返す。
その手に大人しく収まった携帯は、その次の瞬間には興味の対象外といったように床へと投げ出された。

「壊れんぞ」
「何度探しに来ても、貴方の望むものはここじゃ手に入りませんよ」

にっこりと笑って告げる。その様は、傍から見れば色を誘う様にも似て。
視線は合わせたまま、ゆっくりと指を這わせて胸元へ擦り寄る。

「・・・何も探してねぇよ」
「―――なら、」

唇が触れる間際。殆ど吐息と変わらない囁きで問う。
狭い部屋に他に誰が居るわけでも無いのに、それは隠れた秘め事の様に。

「どうしていつも、僕のところへ?」

優しい声音と艶めいた微笑みとは別に、銀褐色の光が、逃げることを許さなかった。
男の漆黒の瞳が微か見開かれたのを見逃さず、更に微笑んでみせる。

「・・・おい、モヤシ」
「アレンです」

白い腕が男の首筋へと絡まる。それはゆっくりとした動作で。
―――或いは、そのまま絞め殺すかの様に。

「質問、答えてくださいよ」

焦らすでもなく、責めるでもなく。ただ静かに問いかけられる。

「名前を覚える気も無い様な奴のところに、何故?」

まるでその答えは、本当は求められていないかのように。

狭い部屋に、軽い電子音と振動音が響く。
熱を呼び覚ますために男の肌を辿っていた指がそれに怯えて爪をたてた。

「・・・痛ぇ」
「背中は平気なのに?」

悪戯っぽく笑う少年を一瞥し、布擦れの音を立てながら男がベッドを降りる。
音源の、自分の携帯を手にする。通りがかったとき、床に落ちていた携帯をその持ち主に投げながら。
再び床に落ちる寸前でその手に携帯を取り戻した少年は、男の背を身ながら軽く溜息をついた。

「―――本当、聞いたとおりの人だなぁ。」

自分の携帯で通話中の男に聞こえない様に小さく呟いて、苦笑する。
2,3言葉を交わしただけで切れた通話に役目を果たした携帯の電源が落とされた。

「帰る」
「なんだ、残念」

どさ、と音を立てて少年がベッドへと沈む。その衝撃で申し訳程度に羽織っていた布が肩からずり落ちた。
目の前で身支度を整えていく男を凝視しながら。

「次来るときは、僕の名前覚えてきてくださいね」
「誰がそんな事するかよ。面倒臭ぇ」
「だって寂しいじゃないですか。」
「くだらねぇ」
「じゃあ、今度から僕が貴方のこと名前で呼びますから」
「誰が教えるかよ」

嘲笑を送られて、それが今日見た『彼』の最後だった。
支度が終わり、そのまま出て行こうと男がドアノブに手を伸ばした瞬間を見計らって、少年の声が響く。

「―――”神田ユウ”」

ぴくり、と。面白いくらいに想像通りに動きを止めた男に、笑いが堪えられなかった。

あたりでしょ?と悪戯が成功した子供の様に無邪気に笑う。
その名は、男がこの店に入るために使った偽名とも違うものだ。

「なんで・・・お前・・・」
「また来てくださいね、神田」

待ってますから、と甘い声で囁く声を聞いた後、その部屋のドアを今度こそ開けて男は帰っていった。
バタンとドアが閉まる音を聞いて、少年が心底面白そうに笑う。

「・・・本当、面白い人ですね、師匠。」

男が探している人物の名を呟いて、少年は眠りについた。













自分で読み返して思った。
 こ れ っ て 神 ア レ な の か な (ガタブル)

解説としましては、神田さんは師匠を探してて、その情報を集めるためにアレンのところに通ってますよという。
(解説いるようなもん書くなちゅーに)

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