immoral in moral.
「―――ユウ?」
暗いままの部屋へ足を踏み入れる。扉の音に反応してぴり、と空気が張りつめたのが解った。
「どうしたんさ。電気つけて良いって言ったしょ?ご飯作ってきたから食べよう」
壁のスイッチに触れて明かりをつけつ。瞬間明るくなった視界に驚いたのか、嫌そうに目をまばたかせていた。
特に何をするでもなく外を眺めていたのだろう―――彼はいつもそうだ。開いたままの窓と、そこから入ってくる風がカーテンを揺らす。
「ユウ、窓とカーテン閉めてくれる?」
持ってきた食事を置きながら目を合わせて言う。話す時、相手の目を見るように言ったのは俺だ。ユウはしっかりとそれを守っている。
じいと俺の目を見返した後、ゆっくりと立ち上がって窓へ歩み寄る。その姿を確認して茶を入れ始めた。しばらくすると腰へ何かが張り付いた。ユウの腕だ。腰より少し高い位の位置にあるユウの深い青の瞳がひたとこちらの目を射抜く。
言わんとすることを察して窓を見遣るとしっかりと窓とカーテンが閉められていた。
「ん、ありがと」
くしゃりと髪を撫でてやる。今ではすっかり零れるように、と形容するにふさわしい手触りだ。出会った頃の、固いものとは違う―――
そんな事を思い出していると、ぐいと服を引かれた。少し怒った顔で背伸びしてくる。ああ、と思い当たって、少しかがんでその頬に軽く唇で触れてやる。『ごほうび』、だ。
「先座ってて」
もう一度頭を撫でると満足したようで、ユウは定位置となりつつある、ベッドに背を預けて床に座り込んだ。
イスはもちろんあるのだが、一度も座っていないことから、おそらく床の方が落ち着くのだろう。―――だろう、というのは一度もユウから聞いたことがないからだ。そもそもユウの声など、まだ殆ど聞いた事が無い。
おとなしく待つユウに合わせて、いつものように床へ腰を下ろす。持ってきた食事は一人分より少し多い位だ。ユウはあまり食べない。一度に量を食べると胃が受け付けないのか吐き気がするらしかった。
湯気をたてる湯呑みをひとつずつ、自分とユウの前に置く。ユウの小さな手がそれを取って、一口こくりと飲み込む。食事の前に必ず喉を潤すのはユウの癖のひとつだ。
「はいユウ、あーん」
スプーンに一口分をのせて口の前に運んでやると、大人しく口に含んだ。まだスプーンやナイフ、まして箸など使えないユウに、食事の度にこうしてやる。まるで餌付けの様だ、なんて思っていたが、最近はあながち間違いではない気がしてきた。
何度か繰り返すと、しばらくして頭が左右に振られた。
「もういいの?」
小さな頭がこくりと頷く。意思が伝わったことを確認してまた湯呑みに手を伸ばした。
ユウがゆっくりと茶を飲むのを見ながら残った分を食べる。
淹れた茶を、いつもユウは俺が食べる間の時間をかけて少しずつ飲み干す。もしかしたら待ってくれているのかもしれない、と気付いたのはつい最近だ。たしかめることはできないが。
「ごちそうさま」
いつか習った東国の風習。今ではすっかり自分の癖になってしまった。
顔を上げると、最後の一口を飲み終えたユウと目が合った。
ユウはあまり表情を変えない。それでも少しずつ何が言いたいのか判る様になってきたのは、進歩だろうか。
「どうするユウ、風呂入る?それとも―――もう、寝る?」
これは、駆け引きだ。深青の瞳は、揺らぐ事無く見つめ返してくる。その言葉が何を示すかわかっていながら―――否、彼にとっては日常だったのだ。
何でも無い様な動作で、ユウが空になった食器を端へ退かす。獣のようにゆっくりと這って近付いてくる。さらとその肩から長い髪が一房流れ落ちた。
片手をあげてそれを耳にかけてやると、相反してユウの手は慣れた動作で俺のベルトを外しにかかった。
(極上の―――か。)
ユウを拾った荒れきったスラム街を思い出す。その間にも、ユウは躊躇無く男の熱を煽っていく。彼にとっては、それが日常だったのだ。あの街で会った、下卑た男達の言葉を思い出す。
娯楽性の乏しい環境の中でこれだけ奇麗な顔をしていれば解らない話ではないけれど。何時から始まったのかなど知る由も無いが、それ以来ユウは声が出なくなったと聞いた。
けれど、殆ど普通の生活能力が無かった小さな子供の、知る、唯一と言っても過言では無い生きる術だったのだ、恐らくは。
食事をしたそのままの口唇で、男の熱を咥える。きっとそれがどうと思う事すらないままに、時が経ってしまったのだ。
「―――っ、もういいよ、ユウ」
確かめるように視線を合わせて、ゆっくりと唇を放される。銀の糸を引いて。
「ユウ・・・・・・」
名を呼ぶと、小さな腕がするりと俺の首に絡まった。その間目を合わせたままにするのも、ユウの癖だ。
膝に乗り上げて跨ぐ形になったまま、自分で腰を上げて熱を咥え込む。触れてもいないユウの後莟が本人の意思とは逆にきつく異物を吐き出そうとする。
「―――っ、」
声とは呼べない、痛みに息を詰める気配が伝わった。堅く閉じられた瞼から、早くも涙が零れ落ちそうになっている。そうまでして食むべき物ではないというのに。
「ユウ・・・・・・」
少しでも痛みを和らげてやりたくて、片手で前を弄ってやる。一瞬びくりと肩が震えて、そろと瞳が晒された。その奥には、快楽が見え隠れしている。
こんなこと、やめさせたくて連れて来たというのに。
けれど初めの三日間、ユウは眠らなかった―――否、眠れずにいた。
知り合いの医者からそれとなく聞き出したところによれば、日常習慣化されたものが急に無くなった事で身体のリズムが崩れたのだろう、と。
そんな藪医者の言うことなど信じるつもりはなかった。けれど四日目の夜、均衡を崩したのはユウの方だった。
下手な女よりも艶かしく、その唇の動きだけで俺の名を呟いて、誘ってきた、のだ。
それは錯覚などではなかった。明らかな意図を持って―――けれど無意識に、男を誘っていた。
あの時合わせた瞳を、よく覚えている。罪の意識など知らない無邪気なまま、ただ睡眠欲と幼いながらに育て上げられてしまった性欲に従順に動いただけだ。
それに逆らえなかったのは、俺も同じで。
誘われるままに、目の前の子供を犯した。
それどもその夜、ユウはやっと眠りについた。
次の日目が覚めた時、何時もと同じ様に目を合わせてくるその中に、少しも変わった色がないのを見止めて、思わずきつく抱きしめた。
「悪くない―――ユウは、何も悪くないんさ」
真直ぐに見返してくるようになった深い青の瞳に何もかも見透かされそうで、恐くて見ることなどできなかった。
それ以来、俺は毎晩こうしてユウを抱いている。そこにユウを寝かせるためという大義名分があるかどうかの違いだけで、下卑た笑いを浮かべていた男達としていることは何も変わっていない。吐き気がした。変わったのは、毎晩変わっていたユウの相手が、俺一人になったというだけで。
「ユウ・・・・・・」
粘着質な水音が聴覚を犯す。自ら腰を落として欲を貪る姿に背筋をぞくりとした感覚が襲う。耐え切れなくなって下から思い切り突き上げた。
「―――ッ!!」
びくりと背を撓らせて息を切らせる。けれど嬌声は無い。無くても充分だった。掌に白濁が滴って、そのキツさに俺もユウの中に熱を吐き出した。
「・・・っぁ、ら・・・び・・・・・・?」
くたりと力が抜けて、小さな身体が寄りかかってくる。それでも、視線は合わせたままだ。涙に濡れた双眸から目が逸らせなくなるのだ。
ましてや、そんな風に掠れた今にも消えてしまいそうな声で必死に名を呼ばれてなんてしまったら。
少しずつ、ほんの少しずつだけだけれど声が聞けるようになったことをちゃんと気付いている。初めて聞いたのは、ユウの名前。次が、俺の名前。それがどれほど嬉しかったか。
「いいよ、このまま寝て。―――おやすみ」
乱れて顔にかかってしまった髪をかき上げて、優しく額に口付けてやる。ゆっくりと瞼が閉じられるまで、髪を梳いてやった。猫のように目を細めて、そうされることが好きだと知っていたから。
閉じられた瞳の上に、もう一度口付けを落とす。その瞳が何よりも好きなのだと告げたら、君は笑ってくれるだろうか。
大変申し訳ない。
なんつーかこう、不完全燃焼ですな!!
や、元はエロ話じゃなかったはずだからさ・・・・!!エロはマフラープレイでリベンジ(せんでええ)
それにしてもらびっこがナチュラルに変態ですまない。つーかコレ、3人称で書くべきだった・・・。
うっかり神田さんサイドからも書けますね。書きたいんですけど疲れるからもうやだとも思う(どっちやねん)
基本的な文章からして、授業中に切れ切れで書いてたんで(おい)おかしいしね。でも直さない(・・・・・・)
個人的には、らびっこに甘えるちびユウを、ゼヒこうちゃんに描いて欲しいんだ!!ぎゅってするのとか!!(またそういうことを・・・)
まぁそうユウわけで交換日記派生ネタ第一弾でしたっぁ!!お付き合いくださりありがとうございます!