<tactics>
『ねぇユウ、眷属になってよ。ずっと俺と一緒にいて?』
今もずっと投げかけられている問い。その最初の時の響きが、頭の中を廻る。
その声に返す答えは、ずっと変わっていない。
「ん・・・っ、くぅ・・・ふぅ・・・」
神田は喉の奥まで押し込まれた熱にくぐもった声を漏らした。
吐き出そうにも拘束されたままの所為で手は使えず、
頭を押さえつけられている状態ではどうしようもなかった。
「ほらユウ、ちゃんと舐めて。そうじゃなきゃ痛いのはユウさ」
「んん・・・っ!」
なんとか舌を動かして唾液を絡めていく。ラビの言葉の意味が、厭と言うほど解っていた。
口に熱が押し込まれるのと同時に、ラビの指は神田の後ろを発き進めていた。
時折悪戯に内壁を引掻きながら進んでくるそれに反応して締め付ける自分の身体が憎らしい。
その度にラビの指の形を正確に知覚しては、頭の上でラビが小さく笑う気配がする。
どう抗おうとも、今の状況が良くなるとは思えなかった。
ならば少しでも苦痛を軽減できるようにする方が賢明だと腹を括る。
徐々に硬さと質量を増していく熱に神田は余す所無く舌を這わせていった。
「ふ・・・んぅ・・・」
「あぁ、イイさユウ・・・」
イきそ、と小さく声が洩れると同時に、口の中から熱が引き抜かれた。
「あ・・・」
やっと充分な呼吸が出来るようになったと思ったのも一瞬で、
神田は今まで口内にあった熱が下腹部へ触れたのを感じた。
「やめ・・・っ、ラビ!」
「まだ慣れない?まぁ、しょうがないか」
何時の間にか抜かれていた指の代わりに熱が入り口へ宛がわれる。
必死に抵抗すれど、ここ数日間まともな食事など殆どしていない身体に、
只でさえ力で勝る相手への抵抗など出来るはずがなかった。
「やっ!ああぁ・・・っ」
「っ・・・相変わらずキツイさ・・・」
ゆっくりと、けれど確実に進入してくるラビの熱に、全身を侵される感覚がした。
その気持ち良いとも悪いともとれる感覚に唇を噛む事で声を抑えようとするが、
すぐにそれを見咎めたラビが口付けてきた。
「んぁ・・・っ」
「傷付くじゃん・・・もう少し、だから」
「ふ、やあぁ・・・・!」
その能力を持たない箇所が、ラビを受け入れる為に開かれていた。
重ねて行われた行為の所為で、其処は最早血を流すことも無く従順にラビを受け入れていく。
吐き出す為に締め付ける内壁の唸りが、逆に熱を奥へと誘い出していた。
「ん・・・っ、動くよ・・・?」
「い、やだ・・・・っ、あぁっ!」
「イイ、の間違いじゃねぇの、ユウ」
薄く笑みを浮かべながら、ラビは腰を進める。
ここ数日で完全に押さえたらしい神田の感じる場所だけを執拗に攻め立てた。
「はぁっ、ん、あぁっ!や、め・・・ラビ・・・っ!!」
「ユウ・・・」
『ユウ』
その響きは、前と何も変わっていない筈なのに。
その声に名を呼ばれるのは、決して嫌いではなかった筈なのに。
「ら、び・・・・」
身体の最奥を抉られる感覚。快感を見出せるようになったのはつい最近で、
吐き気にも似た感覚を、神田はまだ持余していた。
その事をラビは確かに感づいていて、だからこそ、飽く事無く行為を繰り返す。
いっそ暴力的とも取れる激しさで熱を引き抜いては埋め込んでいく。
中を擦る度に、肌を指でなぞる度に、神田は素直に反応を返していた。
今まで誰も触れたことのなかったその肌を、自分だけが今味わっているのだと思うと、
より一層腰の揺れが激しくなるのを自覚せずにはいられなかった。
「は・・・っ、ユウ・・・」
「んぁ、や、あぁ・・・・っ!!」
腹に神田の熱が放たれるのを感じながら、ラビは晒されたその白い喉に牙を突きたてた。
「やあぁっ!」
そうして、最も甘美な一瞬の血を飲み込んでゆく。
「ん、ユウ・・・」
「は・・・あぁん・・・っ」
「っ、く―――」
達したばかりで敏感になっている肌にはその痛みすら快感として伝わるようで、
一層絞まった内壁に、ラビも欲望を耐え切れずにその中へと吐き出す。
「は・・・っ、相変わらず甘すぎ・・・ユウ・・・」
「も、やめ・・・・ラビぃ・・・っ」
声だけ聞いていれば恋人同士かとも思えるような甘い響きに、
ラビは自身を神田から抜かずにそのまま神田の両足を大きく開かせる。
「嫌、だ・・・っ、ラビ!!」
「そんだけ嫌がってても、やっぱり眷属になってはくれないんさね」
いいけど別に、と呟いて強かに腰を打ちつける。甘い嬌声を聞きながら。
この状況は、決してラビにとって不利ではない。半ば願いは叶っているようなものでもある。
問題は、神田の身体が何時まで持つかということで。
それすらも神田が4分の1でも受け継いでいる血のお陰で通常では考えられない程の長い時間耐えられている。
いっそ、本当に生命の危険があれば助けてくれと懇願してくれるのではないかと思っている位なのだが。
一切の侵略を許さないその高貴なまでの漆黒の瞳に魅かれたのは確かなのだけれど、
綺麗なものは壊したくなるのは性分で。
思いのままにならないのならば、せめて孕ませることができればよかったのに。
そうすれば、縛り付けられたのに。
「ああ・・・そっか」
「やっ、」
「今やっとわかったさぁ、ユウの御祖父様の気持ち」
「何・・・っ、んあぁっ」
「ユウも、女だったら良かったのになぁ」
でもきっとそれでは、自分が惹かれたあの瞳はなかったのだろうけれど。
「ふ、や、あぁ・・・」
鮮やかに色づいた薄い唇に口付けながら、まだ明けることの無い夜を思った。
<Epilogue>
街中でも高い建物の屋根に座り込む人影があった。
その髪は、その背に広がる夕焼けと同じ色をしていた。
「何黄昏てんの」
人影―――ラビは頭上からかかった声に、興味が無いと言わんばかりにちらりと視線だけを投げてよこした。
西の空が赤く染まり始め、夜の帳が落ち始める。
その闇の合間から音も無く現れた男は、ラビのその視線も特に気にすることはなく、紫煙を燻らせながら笑った。
「俺らの間じゃもう既に結構有名よ?」
「何がさ」
「『あの』ラビが、遂に一人に御執心だってね」
「あっそ」
今まで2回同じ奴を抱いた事なんて無いと名高かった者がが、こうまでしているというのは自分でも不思議だった。
だが、惹かれたものは仕方ないと、最早割り切っている。
別に手当たり次第に手を出していたのも、理由があっての事では無かった。
「それにしても随分持つね、その彼女」
「男だけど」
「・・・お前女しか抱けないんじゃなかったの?」
「女しか抱かないって言っただけさ」
不毛な会話が続けられる合間に、街の中心にある聖堂の鐘が鳴り響いた。一日が終わる事を告げる音。
ラビは傍らに立つ男から無遠慮に煙草を奪い取ると、その紫煙をゆっくりと肺へ流し込んだ。
「―――嫌な音」
「そういうの気にする性格だっけ?」
「思わず数えちまう」
「何を」
「何日目かって」
取られた代わりに新しい煙草を取り出す手がぴくりと止まった。
暫し唖然となって、けれどその言葉の意味を飲み込むと、抑えきれない笑いが喉の奥から零れだてくる。
「・・・くっ、君って結構可愛い性格」
「うっせぇホクロ」
「で、何日目?」
「―――今日で六日」
忌々しげに煙が吐き出されるのと同時に、新しい煙草に火が灯された。
既に広がる夕闇の中に、小さな明かりがよく映える。
聖堂の鐘の余韻も空に消えた頃、ラビは既に短くなった煙草を無造作に地面へと投げ捨てた。
「行くの?」
「ここでアンタと油売ってても何もならないさ」
「そりゃ確かに。ま、早く俺にも顔見せてよ」
「誰が見せるか」
それだけ呟いて、二つの影が夕闇に消えた。
色々ごめんなさい_| ̄|Σ・∴'、-=≡○
つかお前どんだけ時間かけてコレ書いてんだと!
なんか、所々先に書いてあった場面とかもあって最早切り張り状態でした。
もう、書くだけで疲れて読み返してもいません。変なところあったらごめんなさい(貴様)
ありがとうございました!!